CPAPの機能と効果2|You-MOST
2020/03/12
メーカーによる違い
CPAP装置の変化には歴史があります。
CPAP治療が始まったころは今の器械の4-5倍の大きさでした。
また、Auto CPAPの性能も役に立たない状況でした。
ですから、固定圧を支持する先生がいまだに存在するのでしょうか?
今日は、ツートップメーカーの違いについて解説します。
先ず、ResMed社のCPAPとPhillips社のCPAPはコンセプトが違います。
これは私の使用経験とデータ解析から判断しているのであくまでも個人的主観です。
ResMed社は現在「S10」という商品が主流です。小型化の流れでAirMINIという商品も出ていますが、持ち運びに便利なだけで小型化商品を評価する対象にはしませんので悪しからずご了承ください。
この「S」はCPAPの生みの親であるDr.サリバンの頭文字から名づけられているようですが、「無呼吸の治療」を重視しているので無呼吸にならないように先回りして動いてくれる器械です。
一方のPhillips社は「快適な睡眠」を重要視しているため、圧力の変動が緩やかになっておりその影響からかイベント(無呼吸や低呼吸)が少し残り気味になります。
実際の違いはこうなります!
ResMedでAHIがほぼ「0」だったのにPhillipsにするとAHIが「3-4」くらい残ってしまう。
P社ではぐっすり眠れていたのにR社にしたら圧力の上昇が早くて目が覚めてしまう。
Auto CPAPという言葉は共通語です。
Auto CPAPとは無呼吸になったら圧力を上げていく訳ではありません。無呼吸にならないように無呼吸になりそうな呼吸を見つけて無呼吸にならないように先回りして圧力を上げていくのです。
無呼吸にならないようにという考え方は同じなのですが、実際には各メーカーで無呼吸になる前の呼吸を予測する方法が違います。そのように「何を感知」して無呼吸の前段階と判断し、どのような基準で圧力を変動させていくのかというそれぞれのメカニズムのことを「アルゴリズム」と呼んでいます。
そう、そのメーカー独自のアルゴリズムがあるため器械によって圧力の変化の仕方が違うのです。そのために、冒頭に書いたような違いが起こってきます。
当然のことながら、コンセプトが両極端の2者ならどちらかが合うとか、どちらかが合わないとか出てきてしまいますよね!
CPAPを使用している人の中で機種が変わることによって「違和感」を感じる人は6割程度います。しかし、「この器械は使えない」となる方は数パーセントに留まります。
そんなわずかな差を各メーカーで競ってくれているわけです。
無呼吸になる前の呼吸パターンとして、多くのメーカーが取り入れているのが「フローリミテーション」という考え方です。
多くの無呼吸は「閉塞型」と呼ばれ、舌の根元が落ち込む(舌根沈下)が原因です。
舌が落ち込んで閉塞型無呼吸になるまでの狭さで呼吸パターンが変わってくるだろうという考え方です。
イメージしてください!
狭くなるという事は細いストローで呼吸するのと同じ状態で、強く吸ってもある程度の一定量しか入ってこなくなります。これがフローリミテーションの状態です。
更に狭くなると、舌がフタをしたりしなかったりする呼吸=イビキの状態になり、完全に塞いでしまうと「無呼吸」になるのです。
無呼吸になっていく代表的な例です。理解できましたか?
通常の呼吸波形(青線)に対して赤線では頭打ちになっている(流量制限)状態。
流量=Flow 制限=Limit
なので、フローリミテーションと呼ばれています。
次回は、もう少し踏み入った機能を紹介していきます。